3年で17人の占い師に会った。——当たったのは3人。

でもどの3人かは、今でもわからない。

これが、僕がジプシーをやめた理由のすべてだ。

ジプシーとは何か

占い業界では、占い師を次々と変えていく人を「ジプシー」と呼ぶ。

悪い意味で使われることが多い言葉だ。——しかし、僕はそう思わない。

ジプシー化するのは、「もっといい答えがあるはずだ」と信じられる誠実な人だけだ。最初の占い師で納得して何年も通う人のほうが、実は少数派だ。

問題は、ジプシー化そのものではない。——ジプシー化の先に何も見えてこないことだ。

3年で17人に会った内訳

手元に残っているメモから数えた。

総額、約45万円。——ひと月にすると平均1万2,000円。派手ではないが、少なくもない。

「当たった」と思った瞬間

3年のうち、「これは当たった」と強く感じた瞬間は、3回あった。

1回目:2023年夏。対面占い。「あなたは今年中に仕事を変える」と言われた3ヶ月後、実際に転職した。

2回目:2024年春。電話占い。「好きな人から連絡が来るのは水曜日」と言われた水曜日、実際に連絡が来た。

3回目:2024年冬。「来年はお金に恵まれる」と言われた翌年、副業で30万円の臨時収入があった。

これだけ書くと、「占いは当たる」と思える。——ただ、ここからが本題だ。

「外れた」瞬間は、覚えていない

僕は、外れた占いの内容を——ほとんど覚えていない。

17人の占い師、1人平均1時間として、17時間分の鑑定を受けてきた。そのうち「当たった」と思っているのは、合計15分くらいのエピソードだけだ。

残り16時間45分——そこで言われた予測のほとんどは、外れているか、検証していないまま忘れている。

これが「後知恵バイアス」だ。——脳は、当たったことだけを強く記憶する。外れたことは、記憶から勝手に削除する。

当たった3人がどの3人かわからない理由

記事の冒頭に戻る。——「当たったのは3人。でもどの3人かは、今でもわからない。」

これは比喩ではない。文字通りだ。

転職の予言をした対面占い師。連絡日を当てた電話占い師。副業収入を言い当てた別の占い師。——書き出してみれば、確かに3人いる。

ただ、3人の「当たった率」を他の14人と比べてみると、差がない。

転職を当てた対面の人は、僕の健康について「来年大きな病気をする」とも予言した。病気はしていない。

連絡日を当てた電話の人は、「彼は1年以内に結婚を申し込んでくる」とも言った。フラれた。

副業収入を当てた人は、「引越しは来年の秋」と言った。引越していない。

当たった人と外した人は、同じ人だった。

占い師を比較して「当たる人」を探す、という発想自体が間違っていた

3年で17人試してわかったのは、これだ。——占い師には「当たる・当たらない」ではなく、「どの質問に当たりやすいか」の傾向しかない。

しかも、その「どの質問に当たりやすいか」は、僕たちが事前に知る方法がない。

これはレビューサイトでも変わらない。「この先生は当たる」と書かれているレビューの9割は、その人のたまたま当たった質問の話だ。別の質問では、普通に外している。

ジプシー化とは、「自分に100%当たる人」を探す旅だ。——その人は、存在しない。

17人目の最後に、僕がやったこと

3年の終わりに、僕はExcelを開いた。

17人全員分の鑑定記録——日付、相談内容、予言、実際に起きたこと、金額。これを全部書き出した。(書き出す作業は、たぶん5時間くらいかかった。)

書き終わったあと、縦に並んだ「実際に起きたこと」の欄を眺めた。

半分は検証していない。
3割は外れている。
2割だけ当たっている。

そして、2割の当たりの中身を見ると——ほとんどが「誰でも当てられる」確率の高いこと(仕事、人間関係、金運の総論)だった。

書き終わった瞬間、僕は検索窓に「占い やめる 方法」と打ち込んでいた。

ジプシーをやめた今、占いとどう付き合っているか

完全にやめたわけではない。

年に1〜2回、占いを受ける。——ただし、目的が変わった。

前は「答えをもらいに行く」だった。今は「自分が今どんな質問を抱えているかを確認しに行く」だ。

占い師の予言は、半分聞き流す。代わりに、鑑定中に自分の口から出てきた言葉——「こういうことが気になっていて」「本当は〜したいけど」——を録音しておく。

これが一番の収穫になっている。

「当たる占い師」を探している今のあなたへ

もし今、18人目の占い師を探している途中なら——探す前に、過去17人の記録を書き出してみてほしい。

書き出すとわかる。——当たった人と外した人は、たぶん同じ人だ。

それに気づいた日が、ジプシーが終わる日だ。

僕の結論

3年ジプシーをやって、僕が得たのは——

「当たる占い師」は探すものではなく、自分が勝手に認定するものだ

という気づきだった。

占いを否定したいわけじゃない。ただ、「探す」という行為自体が、答えを遠ざけていた。——これだけは、伝えたい。


あわせて読みたい

——ジプシーの続きは、この2本で終わらせる。


本記事は個人の体験と考察に基づくものであり、特定の占い師・業者を否定する意図はない。

— 了 —